声楽家の端くれの私、去年から本格的にYouTubeに日本向けの音楽動画投稿を始めました。
(一時期サボりました)
1年続けてみて相変わらずのマイペース弱小チャンネルですが、この間に気付いたことをメモしておきます。
要するにただの日記です。
※以下、個人の感想です
声楽家がYouTubeチャンネルを始めてみて気付いたこと5点
YouTubeおいしい?
選曲が難しい
曲がりなりにも声楽家なので、学生時代はマイクなしの生歌専門クラシック音楽を勉強してきました。
ですがYouTubeってそもそもクラシック、ひいては声楽曲と相性が悪いなと思うワケです。
かなり選曲には悩みます。
具体的には以下の点が挙げられます。
YouTube視聴者層に声楽曲愛好家さんは少ない
相対的に見てこれは事実だと思います。
やはり大きいのは年代ですよね。
普段オペラや声楽の演奏を披露する場にいらっしゃるのは50~70代の方が多いですが、YouTube全体の視聴者というのは最も多いのが10~20代、次に30~40代というワケで、大きく食い違っています。
大人気YouTuberの方の投稿内容もかなり若者向きですよね。
これをひっくり返すのは個人の力ではなかなか難しいでしょう。
日本の声楽曲需要を知る
最近気付いたのですが、自分のように大学でクラシックの声楽を学ぶ人間は世間一般的に見るとかなりオタクだったんです。(ほんとに最近気付いたんですよ)
日本のYouTube市場全体から見ると声楽はかなり小規模なジャンルですよね。
まず日本で有名な声楽曲と言えばシューベルトの歌曲数曲、モーツァルトのオペラアリア数曲、オペラの合唱曲数曲その他が挙げられますが、これらをわざわざ検索して聞きたいという方がどれだけいるでしょうか。。
そしてYouTubeで未知の声楽曲を発掘したい、という方も専門家以外ではかなり少ないでしょう。
言語の面でいえば声楽曲でメインとなる諸ヨーロッパ言語に精通する日本人自体も稀で、その壁を越えてクラシック声楽曲を聴く方もかなり少数派です。(あくまでわたしの周囲のデータによります)
先ほどの年代問題と合わせて、まあそういうことです。
クラシック音楽専門家なのだから、というプライドはポイしました。(もともと他ジャンルも大好きです)
声楽曲をYouTubeで扱うメリット
ただひとつYouTubeで声楽曲をお伝えできるメリットだと思ったのは、歌手の表情と日本語字幕が同時に目に入れられることです。
会場で生歌を歌う場合は歌手の立ち位置から字幕表示の位置が離れていたり、字幕がパンフレット記載になっていたりしますから、ここは利点でした。
また、言語の壁を越えて音楽を伝えるには、カメラ目線であることも大切かなと個人的には思っています。
これは生の舞台でも意識します。
選曲すべき楽曲とは
わたしの音楽動画は上記の理由から、だんだんと大衆的な音楽にシフトチェンジしました。
自分が歌いやすい曲、上手に歌える曲が必ずしも求められるわけではないんですよね。
検索に引っかかりやすい、また関連動画でも興味を引きやすいよく知られた曲で個性を出すのがオススメです。
ライバル動画が数多あったとしても、その恩恵にもあずかれるのがYouTubeです。
時々ひょんな理由から再生数が伸びることもあり、こればっかりは予想しきれません。
わたしの場合、「赤とんぼ」という超一般的な日本歌曲を漢字でタイトル表記したことにより、台湾の人気赤とんぼ動画からの関連動画経由アクセスが増え、チャンネル内1位の再生数を記録していた時期があります。(ありがたい)
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クラシック音楽とYouTubeの相性の悪さは後述する音質問題とも関連してきます。
音質調整が難しい
実は学生時代にニコニコ動画に歌を上げていたことがあります。
なので一回はこの音質問題にぶつかったことがあったのですが、今回また改めてぶつかりました。
音割れ問題
これまでソプラノとして鍛えてきたので高音はドヤ顔で出すのですが、これがレコーダーでは全部割れます。
粉々です。ここでも声楽曲はYouTubeに向いてないなと。
とりあえずはレコーダーを評判の良さそうなTASCAM DR-40Xに買い替えました。
これでリミッターを使ってマイクレベルを調節して使っています。
TASCAM タスカム – USB オーディオインターフェース搭載 4チャンネル リニアPCMレコーダー DR-40X
マイクに向かって歌うと簡単に割れますので、ちょっと斜め方向を向いて歌っております。
それでも得意な音域にくると音割れするので、あとは音楽編集の際に修正します。
実際歌ったときには割れていなかったのに二声で重ねると割れたりもします。(*_*)
声を加工したくないというプライドを捨てた
生声勝負でやってきたこともあって、録音した自分の声にリバーブなどの加工を加えるのはかなり抵抗があります。いや、ありました。
ですがやはり楽曲によってはリバーブを付けた方が確実に耳心地が良いです。
少しでも良い音楽を届けるためには妙なプライドは捨てよう、と決意しました。
そもそも普段はコンサートホールの音響や空気の振動を利用して歌をお届けしているわけですから、レコーダーで録音した実声で勝負する必要はないんですよと言い聞かせました。
機械を通して音楽を届ける場合は機械を通した環境づくりをして良いと思っております。(持論です)
動画編集の壁あり
声を出すことはそれなりの経験があれど、動画編集は勉強必須でした。
ニコ動時代はPCソフトで編集していたものですが、現在は作業効率化のためiPadアプリでちゃちゃっと済ませます。良い時代ですよね。
アプリやソフトの使い勝手がわかればあとは自分の好きなようにできるので、最初の内はとにかくいろんな機能を使ってみることです。
慣れれば、その中で必要な機能のみを使って動画を完成させることができるようになってきます。
どこまでクオリティを求めるか問題あり
声楽家は歌に関しては一生学生であり、常に未完な音楽を完成形に近づけるという意識があります。
100%の音楽ができた経験があるという声楽家は聞いたことがありません。
ですが一度世に送り出すものはとにかくその時の100%を目指したいもの。
これが結構厄介です。
本番の舞台一発勝負なら諦めもつくのですが、いくらでも録り直せる状況はなかなか諦めきれず。
始めた当初はある程度動画編集し終えてから、音程や歌い方、表現がコレジャナイという気になり、やり直すことが多々ありました。
そうなると動画投稿までに時間がかかってしまいます。
YouTubeチャンネルにとって投稿頻度はかなり大事なポイントです。(週1投稿の私が偉そうに言ってます)
ある程度のクオリティでも投稿ペースを守るか、完成した芸術を届けるために動画を練りまくるか。
人によるとは思いますが、向き不向きでいうと前者の方がYouTube向きです。(弱小チャンネルが偉そうに言ってます)
めちゃめちゃ勉強になる!
YouTubeチャンネルを始めて、自分の無知を知りました。
始めてみて本当に良かったです。
いつもと違うお客様に聞いて頂いているということで、いつもと違う反響を頂けるのもとても新鮮です。
今まで歌ってきた音楽よりももっとたくさんの人に、もっと多くのものを届けられる音楽があることも知りました。(諸説あり)
これからも探り探りやってみます。
まとめ
というわけで、声楽家の端くれがプライドを捨ててみたらひとつ成長できた(と思っている)お話でした。
YouTubeは本当に奥が深いですね。